愛は花あられ
「し、師道社長!キスはまだダメって言ったじゃないですかぁ!」
わたしは耳が弱いことを誤魔化そうとそう言ったが、鏡に映るまだ寝惚け眼の師道社長は悪戯な表情を浮かべ、「妃都の弱いところ、見つけちゃった。」と言った。
「今までの男は、妃都が耳弱いって知ってるの?」
「さ、さぁ。どうでしょうね。」
「もしかして、俺が初めて?やったね。」
「とにかく!キスはダメですから!」
「耳もダメなの?」
「ダメです!」
「分かったよ。怒った妃都も可愛いけど、妃都には笑って欲しいから我慢するよ。」
師道社長はそう言い微笑むと、わたしの腰に回した腕を離し、洗面所から出て行こうとした。
しかし、一度足を止め「でも、ハグは許してくれるようになったみたいだから嬉しいよ。ありがとう。」と言い、師道社長はリビングの方へと向かって行った。
わたしは師道社長にそう言われるまで気付かなかった。
あ、本当だ。
わたし、抱きつかれても拒否しなくなってる。
前まではハグさえ許さなかった。
正直、抱きつかれても全然嫌じゃなかった。
それから、耳にキスされたのも、耳が弱いだけで全然嫌じゃなかった、、、
わたし、どうしちゃったんだろ。
気を抜き過ぎだよね。
ダメダメ!
まだ、師道社長のことを信用したわけじゃないんだから。
わたしはそう思いながら、ヘアアイロンをコンセントにさし、温めてヘアセットを済ませた。