歪んだ月が愛しくて2
そしてテスト当日。
ついにその時はやって来た。
「リカ、汐、……覚悟はいい?」
「う、うん…」
「ああ、やれることは全てやったぜ」
「俺もだよ。今なら胸張って言えるよ、悔いのない人生だったって」
「流石にそれは早くない?まだ始まってもないよ?」
「……確かに」
「いいか、勝っても負けても恨みっこな……いでっ!」
「何格好付けてるのさ。いいからとっとと腹括って席付けや。いつまで経っても始まんないんだよ」
「「「はい…」」」
テストは基本5教科の国語・数学・英語・理科・社会。
1学期一発目のテストは前期の復習や応用が主なためテスト範囲もそこまで多くはなくテストの実施期間はその日だけ。
嫌なことが一気に終わる嬉しさ半面この1日で俺の運命が決まると思うと何だか呆気なく感じた。
「リカ〜」
長いようで短い1日が終わった。
するとお疲れの未空がふらふらした足取りで俺に抱き付いて来た。
「何?」
力なく項垂れる未空の頭を撫でながら聞いてみる。
「ヤマ外した?」
「違うよ。ヤマは……多分そこまで外してないと思う。でもちょっと疲れたから補給されて」
「補給?」
「リカ補給中」
未空は俺の首にギュッとしがみ付いて頬擦りする。
「……おも」
今日はやけに甘えただな。
余程頭を使ったのか、それとも罰ゲームが嫌過ぎての現実逃避か。若しくは両方かもしれないが未空の笑顔を見たらそんなことどうでもいいと思ってしまった。
「お疲れ様」
「うんっ!リカもお疲れ!」
んー…いつもこのくらい大人しいと有難いんだけどな。
そう思った矢先、フローリングの床に映る黒い影が俺と未空を覆った。
「ふ、藤岡くんっ!」
「あ、汐もお疲れ。テストどうだった?」
「………」
「汐?」
「あの…、お、俺も、補給させて下さいっ!」
「は?」
補給って、まさかこれ?
いつから汐まで甘えたになったのやら。
「別にいいけ…「ダメ」
すると未空の言葉に汐の動きがピタッと止まった。
「汐はダメだよ」
未空が強調するようにもう一度言うと流石の汐もこれには反応した。
「な、何でだよ!いつも未空ばっか藤岡くんのこと独占しやがって…っ!俺だってたまにはいいだろう!」
「ダーメ」
「だから何でだよ!?理由は!?」
「別に汐だからダメってわけじゃないよ。俺以外の奴がリカにくっ付くことがダメって言ってるの」
「はぁ!?」
うん、それが普通の反応だよね。俺もそう思うよ。
「な、に様のつもりだよ!未空のくせに!」
「お前は彼氏か?」
「うん!」
「真顔で嘘はやめようか。端から聞いてたら勘違いするから」
「じゃあ本当にしちゃう?俺のこと彼氏にしてくれる?」
「そう言う問題?てか何度も言うけど俺男だから」
「男でも宇宙人でもゴリラでも何でもいいから俺をリカの彼氏にしてよ〜!」
「誰が宇宙人ゴリラだ」
甘えたを通り越して駄々を捏ねる未空の頭を片手で押し返す。
でも嫌がる未空は中々離れてくれないばかりか更に強い力で俺の首にしがみ付いて来た。