歪んだ月が愛しくて2
教えて、会長
立夏Side
「はぁ…」
未空の誘いを断って汐と遊馬と一緒に教室に残った後、2人には体調が悪いと嘘を吐いて生徒会室に向かった。
汐達と一緒にいるのは楽しい。それに2人が俺に気を遣って教室に残ってくれたことは分かっていた。
そんな2人に申し訳ないと思いながらも、今だけはどうしても独りになりたくてここを選んだ。
「失礼しまーす……、って誰もいないか」
案の定、生徒会室には誰もいなかった。
それをいいことに3人掛けのソファーに身体を沈め、ポケットから黒色のスマートフォンを取り出して目当ての人物に電話を掛けた。
『―――俺様だ』
オレオレ電話かよ。
しかもワンコールで出るとかどんだけ暇人なの。
『どうした?お前から掛けて来るなんて珍しいな』
「……好きで掛けたんじゃねぇよ」
『そこは嘘でも“大好きなふーくんの声が聞きたかった”くらい言えよな』
「頭可笑しいんじゃねぇの」
何がふーくんだ、バカらしい。
『で、用件は何だ?』
「……分かってんだろう」
『カナのことか?』
「っ、それ以外に何があんだよ!」
『何でかい声出してんだよ。事前に転入して来ることを話さなかったから怒ってんのか?』
それもある。
でも、それよりも、何よりも…。
「何でカナがここにいるんだよ!?最初にカナに話すなって言ったのはアンタだろう!」
『確かに言ったな。でもそれは少しでも邪魔者を排除して置きたかったからだ』
「邪魔者?」
『まあ、覇王のせいで邪魔者は増えちまったけどな』
「は?アンタさっきから何言って…」
『つまり覇王なんかにお前をやるつもりはないってことだ』
「だからそれが意味分かんねぇって言ってんだよ!?何でそこで覇王が出て来るんだよ!?」
『……その反応を見ると、まだ食われてはないみてぇだな』
だ・か・ら!何で全く会話が成立しねぇんだよ!
アンタは宇宙人か!?
ちゃんとヒト語を話しやがれ!
『それにいくらお前が喚こうと今更カナの転入をなかったことには出来ねぇぞ。これはアイツの意思でもあるからな』
「カナの、意思…?」
『詳しいことは本人に聞いてみろよ』
簡単に言ってくれる。
「それが出来れば苦労しねぇよ…」
俺だって出来ることならそうしたいさ。
でもそれが出来ないからこうして文月さんに尋ねてると言うのに。