歪んだ月が愛しくて2
未空Side
「アオー!助けに来たよー!」
「未空くんっ!」
自分の親衛隊に追い掛け回されグラウンドの隅で蹲るアオは親衛隊の勢いと鼻息の荒さに若干涙目になりながら怯えていた。
あーあ、そんな顔晒しちゃって無防備だな。
自分を狙ってる奴の前で安易に涙見せるなんてアオは男のくせに男心がまるで分かってないね。
俺だったら目の前で好きな子が泣いてたら無性に抱き締めたくなるし、守ってあげたいとも思うし、何より俺の前だから安心して泣けるんだと思って期待してしまう。
アオの親衛隊もそう。アオの泣きそうな顔を見て自分にもチャンスがあるかもしれないと期待しているんだ。若しくは性的興奮を抱いているかそんなところだろう。
まあ、俺はアオのこと何とも思ってないからそんな気には一切ならないけどね。
アオは俺の姿を認識すると安堵の表情を見せた。
アオの親衛隊も俺が“仙堂未空”だと分かると罰が悪そうに顔を歪めた。
「はいはい、散った散った。アオは返してもらうよ」
自分でも柄にもないことしてるって分かってる。
でもこうでもしないと俺の大好きな人は安心してくれないから。
アオが泣きながら取り乱したあの日以来、リカの様子が可笑しくなった。
原因は分からないけど何だか元気ないし、時々悔しそうに唇を噛み締めることが多くなったし、何より苦しそうに笑うようになった。しかもどう言うわけかアオのことに関してだけ。
何でアオのことでリカがそんな顔するの?
何がリカを苦しめてるの?
リカは何を隠しているの?
正直聞きたいことは沢山ある。
でもリカが嫌がることはしたくないし、リカが隠しているなら無理に聞き出そうとは思っていない。
だからこうやってリカの不安要素を少しずつ排除していこうって決めたんだ。
ただ昼飯の時の会話でもそうだったけど、尊と頼稀とアゲハが何か知ってるっぽいのは面白くないんだよね。
何を隠してんのかねアイツ等…。
「ありがとう、未空くん」
「いーえ」
アオの前に手を伸ばすとアオは躊躇うことなく俺の手に自分の手を重ねて立ち上がった。
グラウンドの隅で座り込んでいたせいかアオのジャージの膝部分が土で汚れていた。
このまま戻ったらリカやのんちゃんが心配するかな。
いや、結構頼稀も心配性だから煩いこと言うかも。
一度寮に戻って着替えさせてから皆のところに戻るか。
あー…でももう少しで騎馬戦だからこのままでもいっか、どうせ後で汚れるし。