歪んだ月が愛しくて2



「……何その顔?ウケんだけど。アオって予想通りの反応してくれるから面白いよね」

「………」



いらないと、捨てられた。



「だーいじょーぶ。俺さ、何言われても何も感じないんだよね。だから親衛隊の皆さんに罵倒されようと非難されようと全然へっちゃらなわけ。あ、だからアンタ達もそんな顔しなくていいから。全然気にしてないし。寧ろ言った後で言わなきゃ良かったみたいな罪悪感丸出しの顔される方が迷惑だよ」

「せん、」

「だからさ、とっとと消えてくんない?邪魔なんだけど」

「、」



あ、低い声が出ちゃった。
そのせいでアオを含むこの場にいる全員が強張った表情を見せた。
当然安易に言葉を発する人は誰もいなくて、張り詰めた空気がこの場を支配していた。



「まだぁ〜?」



ハッと、その声に我に返ったアオの親衛隊は不安げな表情でアオを見つめた。
それに気付いたアオは「……皆、先に戻ってて」と言って親衛隊をこの場から遠ざけた。



「任務完了っと」



これで煩いのはいなくなった。
これならリカも安心してくれるよね。
そう思ってグラウンドに視線を向けてリカを捜す。
案外リカはすぐに見つかってお題の紙を手に持ったまま難しそうな顔をして応援席の方が見ていた。

あれ、どうしたんだろう。
難しいお題引いちゃったのかな?
俺が“鼻眼鏡”でアオが“恋人”だったからこれ以上面白いのはハードル高いよな、可哀想に。



と、その時。



リカは誰かに呼ばれて振り返った。
振り返った先にいたのはいつもの3人で、会話の内容までは流石に聞こえないけどどうせいつものようにリカを揶揄って遊んでいるに違いないと思った。



「いいな…」



3人が羨ましい。
俺も早くそっちに行ってリカと喋りたい。
いや、もう行っちゃおうかな。
アオは救出したからもういいよね。お役御免だよね。
このままグラウンド突っ切って思いっきりリカに抱き付いて、お題が何であってもリカの手を引いて一緒にゴール出来たら超楽しそうじゃん。
そうしたら全校生徒に「リカは俺のもの」って宣言したようなものだし親衛隊や“B2“にもいい牽制になる。
まあ、どっかの誰かさんがそれを許すとは思えないけど。

でも時々思う。
リカに好きな人が出来て、もしその人と付き合うことになったら、俺はちゃんとリカの幸せを祝福してあげられるのかなって。
今のところリカにそんな素振りはないし、カナちんのこともきっぱり振ってたし、しかもリカの初恋の人はどうやらお兄さんみたいだから今すぐ誰かのものになる心配はないと思う。



だけど…、


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