歪んだ月が愛しくて2
一方、ゴール地点に取り残された2人は…。
「……金髪だ?ふざけんな」
「だ、だから怒らないでって言ったじゃん!」
「許さねぇ。こっち来い」
「いやだぁああああ!みっちゃんヘルプミー!」
『さあ、気を取り直して第5走者の紹介です。S組…』
「無視かいっ!?」
ズルズルと、リカは尊に引き摺られながらグラウンドを抜けて裏庭の方へと歩いて行く。
当然それに物申したい奴等は大勢いて応援席から悲鳴のような叫び声が次々と挙がる。
俺だって今すぐ2人を引き離してやりたいよ。
俺のリカに触るなとか、みーこだけ狡いとか、俺もリカと手繋ぎたかったとか、言いたいことは沢山あるのに声が出せなかった。
2人の後を追いたいのに、邪魔してやりたいのに、足が鉛のように重くて動けなかった。
「俺、我慢してたのかな…」
「……僕には、そう見えたよ。どんなに自分のことを悪く言われても自分のことだから堪えられるし我慢も出来たのかもしれない。でも立夏くんのことになるとね、未空くんは考えてることがすぐ顔に出て全然我慢なんて出来てなかったよ」
「ははっ、アオのこと分かり易いって言ったけど俺も人のこと言えないね」
「本当だよ。でも我慢しない未空くんの方が人間らしくていいと思うよ」
「何それ?もしかして慰めてるつもり?」
「だって未空くんが落ち込んでるんだもん」
「んー…落ち込むって言うかさ…」
一言では説明出来ない様々な感情が雑多に重なり、呼吸をじんわりと奪っていく。
もう2人の姿はグラウンドにない。
でも瞼を閉じれば2人が手を繋いで走る姿が容易に想像出来てしまう。
俺の大好きな人達。
俺が欲しかったポジション。
ああ、本当に…、
「いいな…」