歪んだ月が愛しくて2



「……、立夏っ!!」

「へ?」



会長に身体を揺さぶられて覚醒する。



しまった。

話の途中で考え事したせいで意識がどっかに行ってた。

危ない奴って思われたかな。



「……やっぱり、鏡ノ院に脅されたんだな」

「………は?」



脅された?

俺が?



すると何を勘違いしたのか、会長は俺の腕を解放して今度は文月さんの胸倉を掴み至近距離で睨み付けた。



「言え。立夏に何をした?」

「……お前、案外人の話聞かねぇのな」



そんな会長に負けじと張り合う、文月さん。



「はぁ!?ちょ、ちょっと、何してんだよ!?」



今にも殴り合いに発展しそうな2人に慌てて駆け寄る。
会長と文月さんが仲悪いのは知ってるけど殴り合いに発展するほどじゃなかった。
そもそも文月さんは暴力よりも狡賢さで生き抜いて来たタイプの人間だ。
性格は人一倍悪いけどその分頭が良いし、寧ろ殴り合いの喧嘩なんてしたことないはずだ。
そんな人が武力行使推奨派の会長に勝てるわけがない。
会長だってそれは分かってるはずなのにどうしてそんな喧嘩腰になってんだよ。



「テメー、保護だの何だの都合良い言葉並べて結局は俺等から引き離したかっただけじゃねぇのか?」

「当然だろう。俺様はリツの保護者代理だからな。お前達みてぇな素行の悪い連中に可愛い甥っ子を任せて置けるかよ」

「素行が悪ぃのはどっちだよ、散々人のこと探り入れやがって。おまけにテメーの気に入らねぇことがあるとすぐ人を使って立夏を俺等から引き剥がそうとする。叶威(コイツ)を嗾けてあることないこと吹き込んだのもテメーだろう?」

「俺様も人に褒められた生き方してるわけじゃねぇが、俺様の何倍も後ろめたい人生送ってるお前が人のこと言えんのか?ああ、それとカナを嗾けたのは認めるが、カナだって他人に適当なこと吹き込まれてすんなり信じるほどバカじゃねぇよ。その中に少しでも真実がなければな」

「それを判断するのはテメーじゃねぇ」

「へぇ、じゃあ誰が…「ストーップ!はいっ、喧嘩はそこまで!」

「リツ、危ねぇからあっち行ってろ」

「こっちが片付くまでそこで大人しく座って待ってろ」

「危ないって何!?文月さん喧嘩出来ないくせに何粋がってるわけ!?」

「……うっせぇよ」

「会長も話なら立ったままじゃなくても出来るだろう!平和的解決じゃなかったの!?」

「それは風魔の場合であってコイツとは無理だ」

「頼稀ならいいんかい!」

「ハッ、ビビってんのか?天下の神代ともあろう人間が情けねぇな。まあ、お前単身で風魔に喧嘩売ったところで返り討ちにされんのがオチだからな」

「適材適所って言葉を知らねぇようだな。風魔の力と神代の力は全くの別物だ。性質が違う。まあ、テメーが理解出来ないのも無理はねぇ。テメーと俺とでは天と地ほどの差があるからな」

「天が俺様で、地がお前か?」

「寝言は寝て言え雑魚」

「だから落ち着けってば!ハウス!ハウス!」

「「俺(様)は犬じゃねぇ」」

「アンタ等本当はメチャクチャ仲良いだろう!?」


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