歪んだ月が愛しくて2



◇◇◇◇◇





「―――当たり、だな」





パソコンの画面を見て無意識に口角が上がる。



倉庫内に隠しカメラを仕掛けたのは正解だった。
まさかこんなところに隠れていたとは思いもしなかった。
灯台下暗しとはよく言ったものだ。



ただ一つだけ分からないのは、画面に映し出された“藤岡立夏”があの“藤岡立夏”なのかどうか。



普通に考えれば否だ。
彼等が同一人物である可能性は限りなくゼロに近い。
でもすんなりと納得出来ない自分もいた。
幼馴染みの愚痴でしか聞いたことのない“藤岡立夏”のイメージ像が画面に映し出された“藤岡立夏”に近いからかもしれないが、実際のところは分からない。
もし彼等が同一人物であれば、きっと彼はすぐさまこちらに飛んで来るに違いない。
そうしたら彼が帰って来た暁にはサンドバッグとしてプレゼントしてみようか。
そのためには一刻も早く彼等が同一人物である確証を得て、早い段階であの脳筋バカと決着を付けてもらわないと困る。
余計な横槍が入っては彼の機嫌を悪化させるだけだからな。





「夏、か…」





あの脳筋は夏に仕掛けると言っていた。
それは間違いなくあの日に合わせて仕掛けると言うこと。



つまり餌にするのは、あの時と同じ―――。



キョウが死のうが生きようが僕には関係ない。
あの日と同じシュチュエーションで夜叉の心を抉るか、将又夜叉の枷を外し暴走させるか。
どちらにせよ実物だが、サンドバッグは壊されたら意味がない。
使い物にならなくなったら脳筋を生贄に捧げてしまうのもアリかもしれないな。





「逃がさないよ」





さあ、楽しい鬼ごっこを始めようか。


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