歪んだ月が愛しくて2



立夏Side





体育祭から数日後、会長とのごにょごにょ…とか兄ちゃんの結婚話とか色々面倒臭いことは一先ず置いといて、現在は体育祭の再聴取のため生徒会室に白樺を招いて6人で話し合っていた。



「―――成程。立夏くんと白樺くんの話に殆ど差異はありませんね」

「は、はいっ」

「………」



隣に座る白樺の緊張がこちらまで伝わって来る。
会話の最中も言いたいことは分かるのに緊張しているせいで声が上擦ったりしどろもどろな話し方が時折目に付いた。
目の前に憧れの覇王様がいたら仕方ないのかもしれないが、挙動不審過ぎて隣で見てるこっちがハラハラしてしまう。



「何故、恐極の侵入を手助けした?部外者が学園内に入るためには事前の申告と正式な手続きが必要なことは知っているだろう?」

「は、はい。知っています…」

「それを無視した理由は?」

「ゆ、月さんとは学園内で落ち合う約束をしていたので既に手続きを済ませていると思っていました…。いえ、それすらも頭になくてごく自然に月さんを受け入れていました」

「つまり確認を怠ったと言うことか?」

「その通りです。申し訳ございませんでしたっ」

「それがテメーの非だ。テメーの軽率な行動のせいでうちの庶務が巻き込まれ、最悪コイツは使いもんにならなくさせられてたかもしれねぇんだぞ。それも全てテメーが確認を怠ったせいでな」

「申し訳ございません…っ」



いや、白樺の挙動不審は憧れから来る緊張だけのせいじゃない。
どう言うわけか覇王の……いや、会長の威圧的オーラに当てられて怯えているように見えた。



「……ねぇ、何かみーこ機嫌悪くない?」

「それを言うならここんとこ毎日じゃねぇの」



軟禁先から戻って以来、会長の機嫌が宜しくない。
多分そう思っているのは俺だけではなく、未空や陽嗣先輩が度々被害に遭う現場を何度か目撃した。
始めの内は機嫌悪いなくらいにしか思っていなかったが、あれから数日経つのに未だ不機嫌ってことはそれなりの理由があるのかもしれない。
会長も立場がある人だから俺なんかには想像も出来ないほどの苦労があるのかもしれないが、これ以上長引くのはお互いのためにも良くない。



「藤岡には、巻き込んでしまって申し訳ないと思っています…。みこ…、神代様の仰る通り、僕の軽率な行動が藤岡を危険な目に合わせたんです。だから、どんな罰でも受けます!僕を裁いて下さいっ!」



それに…。



「罰を与えれば改善するのか?過ぎちまったもんに謝罪したところで何の意味もねぇんだよ」



(嘘吐き…)



責めないって言ったじゃん。

白樺は被害者だって認めたくせに、何でそこまで言うんだよ。



ああ、クソ。段々と腹が立って来た。

会長より先に俺の方がブチ切れそうなんですけど。



「テメーの処分は追って……いや、お前が決めろ」

「は?」



急に話を振られたせいで、不機嫌バリバリの声色を出してしまった。



「お前に決定権をやる」



いや、でも悪いのは会長だ。

言いたいことだけ言って丸投げされたんだから怒っても当然だよね?

俺悪くないよね?



「立夏くん、このまま王様に決めさせたら後が大変ですよ」



クソ、九澄先輩まで。



「だな。白樺に関しては内輪で処理する方向だし、適当にチャチャっと決めた方がお互いのためかもよ」

「じゃあさ、お菓子係なんてどう?腹が減ったら横から菓子パンが出て来るみたいな」

「それお前しか得してねぇじゃん」

「えー、良いアイデアだと思ったんだけどな…」



どこがだ。


< 486 / 651 >

この作品をシェア

pagetop