歪んだ月が愛しくて2



「しかし、何故キョウは態々犯行日を宣言したのでしょう?それではまるで…」

「大方、捜しても見つからねぇから彼方さんから来てもらいてぇんだろうよ」



本当にそれだけ?

何か…、態々白夜叉の傷を抉るみたいに同じ日を設定するなんて悪意があるとしか思えないんだけど。

キョウって性格悪いのかな?



「……それはこっちでも調べてみますよ」

「おや、“B2”が僕達に協力してくれると言うのですか?」

「それはアゲハさん次第です」

「じゃあアゲハがいいって言えば俺達と情報を共有してくれるんだね?」

「利害が一致すればそうなるだろうな」

「利害?」

「アゲハさんは超ド級の白夜叉のストー……いや、ただの変態だから相手が誰であろうと白夜叉を害する者には容赦しない。どんな手を使ってでも排除しようとするからな」

「いや、そこは言い直さなくても」

「どちらも変態には変わりありませんからね」

「つまりこっちが白夜叉に手を出さない限りこの件に関しては協力を惜しまないと言うわけか」

「まあ、そうなりますね」

「何だ、やっぱりあの噂は本当だったのか」

「噂?」

「アゲハさんが白夜叉のストーカーなのは本当ですよ。そのせいで俺も大分白夜叉関連のことに詳しくなりましたからね」

「と言うことは、君や九條院くんならうちの駄犬よりも白夜叉に関する情報を持ってると言うわけですね」

「持ってますけど言いませんよ。さっきも言いましたけど、アイツとはそれなりに仲が良いのでアイツを売るような真似はしませんし、それに手を出すなって言いましたよね?」

「忠告は受けましたが約束をした覚えはありませんよ。それに君は白夜叉と顔見知りのようですから今後白夜叉が何をしようとしているのかも知っているのでありませんか?」

「さあ?アイツの考えは凡人の俺には到底理解出来ませんよ。何せアイツもアイツの周りにいる連中もイカれてますからね」

「成程、“最強の族潰し”は常人離れした思考の持ち主のようですね。仲間内からもそのように思われているとは余程なのでしょう。では立夏くんはどうですか?」

「、」

「…え?」



突然、九ちゃんがリカに話を振った。



あれ?

そう言えばさっきからリカの声を聞いてないような…。



「立夏くんは九條院くんや風魔くんと仲が良いでしょう。だからもしかしたら白夜叉とも面識があるのではと思いまして。それに立夏くんも白羊区の出身のようですし白夜叉について何か知っているのでは?」

「面識はありません。俺が頼稀達と会ったのは聖学に入ってからですし、頼稀と外に遊びに来たのも今日が初めてですから。その族潰しについても噂以上のことは何も…。そもそも興味ありませんから」

「そうですか。ですが九條院くんは立夏くんが聖学に転入して来る前から君のことを知っていたようですよ?」

「そうなんですか?初耳です。………キモ」

「同感です」

「アイツ、気に入った奴全員にストーカーすんのが趣味なのか?」

「……俺を見ないでもらえます?」

「それにしても先程から何やら考え込んでいるようでしたが、大丈夫ですか?顔色が良くありませんが…」

「葵のことが心配だっただけです。俺も様子見て来ますね」

「あ、じゃあ俺も…」

「未空はまだ話の途中でしょう。俺だけでいいよ」



そう言ってリカは不安げな表情のまま病室を出て行った。



アオのこと、本当に心配してるんだろうな…。

俺以外の人を想ってそう言う顔するのはちょっと面白くないけど、誰にでも平等に優しいリカだから好きなったってのもある。

仕方ない、今だけはアオに譲ってやるか。


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