歪んだ月が愛しくて2



「おい、さっき言ってた白夜叉のアジトはどこにある?」

「え、ああ…、白羊にある“BLANC”(ブラン)ってクラブだけど…」



するとみーこはリカがいなくなった途端、更に突っ込んだ質問を杜山くんにぶつけた。



「クラブってことは誰でも自由に出入り出来るのか?」

「えっ、もしかしてみーこ乗り込む気なの!?」

「確認したいだけだ」

「確認って…、いや、そもそもあそこは会員制のクラブだから白羊区出身の人かあの人の許可がない限り入ることは出来ないよ」

「成程、それでアジトと言われているのですね」

「俺も確かなことは分からないけど、そのクラブはあの人の側近が経営しているところで、奥のVIPルームがあの人達の溜まり場みたいになってるらしいんだ。だから入場チェックとかも厳しくて、組関係の人間が店の警備に当たってるって聞いたことがある。当然俺達みたいな弱小チームは門前払いだよ」

「ちょっと待て、何でそこで組が関係してくんだよ?白夜叉の側近って元“鬼”の高屋公平と“マッドドッグ”って呼ばれてる2人じゃねぇのか?」

「違いますよ。あの人の側近って呼ばれてる人達は今アンタが言った2人を含めて5人います」

「はぁ!?後3人もいたのかよ!?」

「……陽嗣、どう言うことですか(黒笑)?」

「情報ふっる」

「テメー、故意に隠してたわけじゃねぇだろうな…」

「か、隠すわけねぇだろうが!こっちは持ってる情報フル公開してるわ!」

「だからその情報が古いんだろう。何世紀前の情報だよそれ」

「真正猿のくせに人を原始人扱いしてんじゃねぇぞコラァ!!」

「風魔、今の話は本当か?」

「……何でそれを俺に?」

「白夜叉と仲が良いって言ったのはお前だろう。お前はその側近連中とも会ったことがあるのか?」

「見たことはありますけど言葉を交わしたことはありません。あっちはそれなりに有名人ですから不用意に近付けないし、当時は近付く理由もありませんでしたから」

「なら、今はあるのか?」

「………」



その問いに頼稀は答えなかった。
みーこもそれ以上追及することはなかったけど、何かを悟ったみたいで小さな声で「……成程な」と呟いた。



「それで他の3人とは誰なんですか?」

「え、何でそれを俺に聞くの?そこの“B2”の人の方が絶対詳しそうなのに…」

「君の方が風魔くんより口がかる…、話が分かる人だと思いましてね」



九ちゃん、それほぼ言っちゃってるから…。

今更言い直してももう遅いって。



「俺もそこまで詳しくないから…」

「君の知る限りの情報で結構ですよ」

「いや、でも…」



チラチラと、杜山くんは落ち着きのない様子で時折頼稀の動向を伺っていた。
多分、頼稀を通じて自分の言動が白夜叉に漏れることを恐れているんだと思う。



案の定。



「信者のくせに随分と口が軽いんだな。そんなんだからいつまで経っても門前払いされるんじゃないのか?」

「、」



ああ、やっぱり頼稀は邪魔するのか。

と言うことは、側近の素性って結構重要な…、



「まあ、その程度のことなら別に止めやしねぇけど」



……ことではないらしい。



どっちだよ。



「い、いいの、か…?」

「いいも何もその程度のことは白羊の連中なら誰もが知ってる。それを今更隠したところでアイツには何のメリットもねぇし、そんな初歩的なことすら調べてないお登りさんにはちゃんと教えてやらなきゃ可哀想だろう」

「あ?」

「カッチーン。言うじゃねぇの蝶々さんよ」

「ねぇ、お登りさんってなーに?」

「田舎者ってことですよ」



なぬ!?



「わ、分かった…。じゃあ一から説明すっけど、さっき名前が上がった高屋さんと“マッドドッグ”は5人の側近の中でも最もあの人に近い位置にいる人達だ。だからアンタもその2人しか知らなかったんじゃないの?」

「ああ、いつも連れて歩いてる奴が側近って聞いてたからな」

「他の3人はいつも連れていないんですか?」

「他の3人は適宜って感じに見えるよ。一緒にいる時もあれば暫く姿を見せない時もあるみたいだし」

「じゃあその3人は大して白夜叉と仲良くないってこと?」

「まさかっ、そんなわけない!」



うおっ、凄い勢い。
流石は信者、興奮してんね。
本当白夜叉のことになると目を輝かせて話すんだから。
これじゃあアオが嫉妬すんのも無理ないな。


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