歪んだ月が愛しくて2
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LAウエストサイドにあるビバリーヒルズ。
世界的に有名な高級住宅地で、ロデオドライブなど高級なショッピング地区としても有名な街。
その中心部には一際豪華で上品な気品を保つ最高級クラスのホテルが聳え立つ。
彼等がLAに赴く際はその最上階を貸し切り、まるで天上人のようにセレブ達を見下ろしていた。
そう、ここは彼等の魔城。
「電話は終わったのか?」
「はい」
「アイツの反応はどうだった?」
「相変わらずのご様子でしたが“お気に入りの彼”について触れた途端、面白いくらい反応してくれましたよ」
「そうか…」
「うふふっ、この仕事が終わったらあの子に会えるのね。楽しみだわ」
「君は気が早いな。俺達が日本に帰れるのは夏頃だぞ」
「ええ、分かっているわ。でも貴方だって早くリリーに会いたいんじゃないの?」
「当然だろう。あの子には愚息以上の愛情を注いで来たからな」
「あら、ミーコちゃん可哀想」
「君だって愚息以上にあの子のことを気に掛けているじゃないか」
「だって放って置けないもの。あの方達が亡くなった今、尚更ね…。貴方もそう思っているから彼女を一足先に日本に向かわせるんでしょう?」
「ああ。彼女には俺達の“眼”になってもらうつもりだ」
「既に“口”と“耳”は日本に入っております。いくら聖楓と言えど潜ることは容易いかと」
「俺の“口”と“耳”の能力を疑うわけじゃないが愚息の直感は侮れない。悟られるなよ―――第5位」
「Voionte」
魔城に一歩足を踏み入れた、彼女。
彼等に背を向けて“お気に入りの彼”に会うための準備に取り掛かる。