幼なじみは新選組でした?!

序章

――あの日、私はまだ小さな手を沖田の手にしっかりと握っていた。

「梨花、また会おうね。」

沖田の言葉は、あの日の青空の下で私の胸に深く刻まれた。今でも、その言葉だけは忘れることができない。沖田総司、私の幼なじみ。まだ数えきれないほどの春夏秋冬が過ぎて、私たちはただの子どもだったけれど、確かな絆を感じていた。彼と過ごした日々は、私にとって宝物のようなものだった。

だけど、運命というものは残酷で、あっという間に私たちは別れを迎えた。

「お姉ちゃん、早く！遅れちゃうよ！」

父の急かす声に、私はぼんやりとした視界で答える。「すぐ行くよ…」

私は家族とともに、故郷の町を離れ、見知らぬ土地へ引っ越すことになった。引っ越しの準備に追われ、沖田との別れが心の中でどんどん遠くなるような気がしていた。だけど、私はまだ彼と一緒に過ごした時間がどれほど大切だったかを、完全に理解していなかったのだ。

沖田は、私の目の前で黙って立っていた。彼は静かに、しかししっかりと私の手を握り返してきた。まるで、私がどこかに行ってしまうことを理解しているかのように。

「梨花、僕、強くなるからね。だから、君も元気でいてね。」

その言葉を最後に、沖田は少しだけ微笑んだ。でも、その微笑みの奥に隠れた寂しさを、私は感じ取っていた。

「また、絶対に会おうね。」私は言った。

でも、その言葉が本当に届いていたのか、私自身もわからなかった。幼い私には、その言葉がどれだけ大切かを実感することができなかった。ただ、沖田の顔を見ながら、「また会える」と信じていた。

その後、私たちは離れ離れになった。新しい土地での日々が始まり、私は次第に沖田との思い出が薄れていった。彼との約束も、時が経つにつれてぼんやりとした記憶になり、心の隅に押し込められていった。

そして、時間は過ぎ、私は16歳になった。沖田のことは、もはや遠い昔の記憶となり、心の中で再び蘇ることはなかった。しかし、運命のいたずらか、私は再び彼に出会うことになるなんて、あの時の私は知る由もなかった。

――あの日の約束が、再び私たちを引き寄せるなんて。

その再会は、私にとっても、沖田にとっても、運命を変える瞬間となるのだろう。