ビター・ハニー・ビター
そもそも想定外の出来事ばかりで、こっちは1ヶ月分の出来事を濃縮したような一日だっていうのに、ぴくりとも動じないこの男に、消えていった苛立ちが再び心の奥で芽吹く。
「言い返さないの?」
「…面倒」
「それでも男?不能なわけ?」
「…不能、ね」
「まさか童貞とか言わないよね」
「勝手に妄想したら」
「本当に言い返さないのね」
「余計な労力は使いたくない」
「あっそ。それにしてもあんたは欲が無さそうね」
草食男子ってやつ?どっちかと言うと、低燃費系か。ま、どうでもいいけど。
彼氏に振られて、話したこともない後輩の家を掃除して、説教まがいなことして、知らないうちにストレス溜まっているのかもしれない。