公爵様の偏愛〜婚約破棄を目指して記憶喪失のふりをした私を年下公爵様は逃がさない〜


「今日もルーカス様にお会いになるんですよね!」

「ええ。だからあの耳飾り、出してちょうだい」

 そう言ってマリアにお願いすれば、彼女はルーカスの瞳と同じ輝きを放つ、金色の耳飾りを私に差し出した。

「………綺麗、ですね」

「ええ。お気に入りなの。ルーカスが公爵家に行く日、私の耳飾りと交換したのよ」


 あの日のことを思い出すと、思わず頬が緩んでしまう。離れたくないと泣く私に、ルーカスは耳飾りの交換を提案した。
 この耳飾りをお互い身につけていれば、離れていても気持ちは繋がっている、と言って。


「いつか迎え行くから待ってて、って言って本当に来てくれるのだもの。私って幸せ者よね」


 耳元で揺れる飾りは、あの日と同じぐらいキラキラと輝いていて、とても綺麗だった。

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