今夜0時、輝く桜の木の下で
紺とシローが仲直りしてから、あっという間に週末になった。

この日、カフェは臨時休業だった。

日が落ちてきた頃、咲夜はいつもより少しだけ髪を巻いて店にやってきた。

「こんばんはー」

「咲夜さん来た!」

カウンターの向こうからキラが顔を上げる。

「咲夜ちゃん、待ってたよ」

奥からキラの母親も顔を出した。

「あと紺だけだね」

シローがそう言った、ちょうどそのときだった。

扉が開く。

入口に立っていた咲夜が少し驚いて振り返ると、扉の隙間から紺が顔を覗かせていた。

「あ、咲夜さん、ごめんなさい」

「全然大丈夫。私こそ、邪魔なとこにいてごめんね」

そう言って少し身を引く。

紺は中に入りながら、咲夜をちらりと見た。

いつもと違う雰囲気に、ほんの少しだけ視線が落ち着かない。

「咲夜さん、今日髪巻いてる?」

シローが気づいて声をかける。

「うん。時間あったから、ちょっとやってみたの」

「ほんとだ。いつもと違う」

キラもあとから気づいたように言う。

「似合ってますね」

シローがさらりと言った。

「ありがとう。頑張ってよかった」

咲夜が嬉しそうに笑う。

その横で、シローはちらりと紺を見る。

紺はその視線に気づくと、軽く手を振って追い払った。

「みんな、そっちのドアから外出てみて。佐藤さんいるから」

キラの母親の声が飛ぶ。

「「「はーい」」」

三人が揃って返事をする。

紺も小さく頷いた。

外に出ると、柔らかな灯りが庭に広がっていた。
低めの照明がいくつか置かれ、暗くなり始めた空気を優しく照らしている。

その中心で、佐藤が炭に火を起こしていた。

木の折りたたみテーブルの上には、肉や野菜、マシュマロなどが所狭しと並べられている。

「えっぐ」

思わずキラが声を漏らした。

「すごいな」

シローも感心したように言う。

そのとき、キラの母親が大きなサラダの入ったボウルを抱えて外に出てきた。

「佐藤さん、準備できた?」

「もう焼けますよ」

火の様子を見ながら佐藤が答える。

「みんないつもありがとう。今日はいっぱい食べてってね」

その言葉に、四人は顔を見合わせた。

どこか嬉しそうに笑って、揃って手を合わせる。

「「「「いただきます!」」」」
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