今夜0時、輝く桜の木の下で
「夏はこれっしょ」
食事がひと段落した頃、キラが袋を掲げて戻ってきた。
中には手持ち花火がぎっしり詰まっている。
「いいねー」
シローが少し声を弾ませる。
紺も、ほんのわずかに表情を緩めた。
「俺は中戻るから、あとはお前らでやれ」
佐藤がそう言って踵を返そうとする。
「え、佐藤さん花火しないんですか?」
咲夜が思わず声をかけた。
「もういい年だし……そういうのは若い子でいいだろ」
どこか照れくさそうに言う。
「私も一応大人ですよ」
咲夜は少しだけ笑った。
「たまには、大人もはしゃいでよくないですか?」
「……でも」
言い淀む佐藤に、咲夜は一本、花火を差し出した。
「花火、嫌いですか?」
佐藤は受け取る前に、ちらりと紺を見る。
紺は気づくと、顎で軽く花火のほうを示した。
「嫌いじゃない」
短くそう言って、花火を受け取る。
それを見て、咲夜は嬉しそうに微笑んだ。
やがて、外の明かりはゆっくりと変わっていく。
柔らかな照明の光は消え、代わりに火花の揺れる明るさが夜を満たした。
キラは両手に二本ずつ花火を持ち、子供みたいにはしゃいでいる。
それに付き合うように、紺と佐藤も火を振る。
咲夜は一本ずつ、大事に灯していた。
その様子を、少し離れた場所からシローがスマホで撮っている。
シャッター音のたびに、光の瞬間が切り取られていく。
鮮やかな火花が、次々と記録の中に積み重なっていった。
やがて手持ち花火は尽き、最後に残った噴射花火に火がつけられる。
一斉に吹き上がる光に、全員が思わず目を奪われた。
夜の中に、白く、強く、揺れる光。
その中で、紺はぼんやりと咲夜と初めてあった日を思い浮かべていた。
「……こんなふうに、見えてんのかな」
小さく、独り言のように呟く。
「そうだよ」
すぐ隣から、声がした。
気づくと、咲夜が立っていた。
紺は少しだけ目を見開く。
何も言わないまま、また前を向く。
花火の光が、二人の横顔を照らしては消えていく。
肩が、わずかに触れた気がした。
でも、どちらも離れなかった。
ただ、光が消えるまで、二人はそのまま並んでいた。
食事がひと段落した頃、キラが袋を掲げて戻ってきた。
中には手持ち花火がぎっしり詰まっている。
「いいねー」
シローが少し声を弾ませる。
紺も、ほんのわずかに表情を緩めた。
「俺は中戻るから、あとはお前らでやれ」
佐藤がそう言って踵を返そうとする。
「え、佐藤さん花火しないんですか?」
咲夜が思わず声をかけた。
「もういい年だし……そういうのは若い子でいいだろ」
どこか照れくさそうに言う。
「私も一応大人ですよ」
咲夜は少しだけ笑った。
「たまには、大人もはしゃいでよくないですか?」
「……でも」
言い淀む佐藤に、咲夜は一本、花火を差し出した。
「花火、嫌いですか?」
佐藤は受け取る前に、ちらりと紺を見る。
紺は気づくと、顎で軽く花火のほうを示した。
「嫌いじゃない」
短くそう言って、花火を受け取る。
それを見て、咲夜は嬉しそうに微笑んだ。
やがて、外の明かりはゆっくりと変わっていく。
柔らかな照明の光は消え、代わりに火花の揺れる明るさが夜を満たした。
キラは両手に二本ずつ花火を持ち、子供みたいにはしゃいでいる。
それに付き合うように、紺と佐藤も火を振る。
咲夜は一本ずつ、大事に灯していた。
その様子を、少し離れた場所からシローがスマホで撮っている。
シャッター音のたびに、光の瞬間が切り取られていく。
鮮やかな火花が、次々と記録の中に積み重なっていった。
やがて手持ち花火は尽き、最後に残った噴射花火に火がつけられる。
一斉に吹き上がる光に、全員が思わず目を奪われた。
夜の中に、白く、強く、揺れる光。
その中で、紺はぼんやりと咲夜と初めてあった日を思い浮かべていた。
「……こんなふうに、見えてんのかな」
小さく、独り言のように呟く。
「そうだよ」
すぐ隣から、声がした。
気づくと、咲夜が立っていた。
紺は少しだけ目を見開く。
何も言わないまま、また前を向く。
花火の光が、二人の横顔を照らしては消えていく。
肩が、わずかに触れた気がした。
でも、どちらも離れなかった。
ただ、光が消えるまで、二人はそのまま並んでいた。