今夜0時、輝く桜の木の下で
「佐藤さんは……その人に欠陥があったら、どうしてたと思いますか?」

お酒のせいだろうか。

いつもより素直な声だった。

「欠陥?」

佐藤が聞き返す。

「佐藤さん以外の全員が、あの子欠陥あるよーって言ってたらどうしますか、ってことですよ」

咲夜はグラスを手にしたまま、佐藤の顔を見た。

「俺がどう思うかと、周りが言ってることって関係ないよね?」

「本当にそーですか?」

咲夜はカウンターに頬杖をついた。ほんの少し眉を寄せ、納得がいかないというように佐藤を見つめる。酔いのせいか、その表情にはいつもの柔らかさが残っていた。

「じゃーあー、その人が佐藤さんの大切な人を傷つけてたとしたら?」

「それは、嫌だな」

佐藤は少し考えてから答えた。

「一瞬で嫌いになりますよね」

咲夜がぽつりと言った。

「……本当の話ですか?」

佐藤の声から、わずかに軽さが消えた。

咲夜は一度視線を落とし、それからまた佐藤を見た。

「本当の話です。佐藤さん大人だしいいかなって……前にも恥ずかしいところ見られてるし」

「大人……」

佐藤はその言葉を小さく繰り返した。

咲夜はグラスを見つめたまま、少しだけ口元を緩める。

「……佐藤さんの大事な人で例えてごめんなさい」

それまでの声から、ふっと力が抜けた。

「欠陥があるのは、私です」
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