今夜0時、輝く桜の木の下で
「中学のとき、嫌いな人ランキング占領したのは、本当に周りから嫌われてたから」
咲夜はお酒の力を借りるようにして、ぽつりと話し始めた。
「誰もが納得するランキングでした……」
佐藤は咲夜の顔を見た。
「咲夜さんに欠陥があるからってことですか?」
「そーでーす」
咲夜はあっさりと答えると、店主の方へ顔を向けた。
「すみませーん、おかわりください」
「……すみません、お水もください」
佐藤が横から注文を付け加える。
「大丈夫ですよ?」
「赤いんで、飲んでください」
「はーい」
咲夜は素直に返事をして、運ばれてきた水に口をつけた。
グラスを置くと、少し間を置いてから、また話し始める。
「クラスにいじめられてる女の子がいたんです。その子は一切悪くなくて、いじめっていうのは、その子の趣味をバカにする感じのやつでした」
佐藤は口を挟まず、咲夜の話に耳を傾けていた。
「私が気づいたときには、もうその子に関しては何言ってもいいみたいな空気にクラスがなってました。キモいとか……本人に聞こえるかどうかも関係なくなってました」
咲夜は言葉を探すように、いったん視線を落とした。
「それで私、その子に頼まれたわけでもないのに勝手にキレて……正義感振り翳したっていうか、キモいのはみんなだよ、みたいなこと言っちゃって」
自分の言った言葉を思い出しているのか、咲夜の声は少しずつ小さくなっていった。
「その子、次の日から学校来なくなっちゃって、そのあと転校したんです。その子をさらに追い詰めて、クラスの雰囲気ぶち壊しました」
「……」
「みんなからしたら、私が同じクラスにいるのが不快だったと思います。てことは、嫌がらせしてんの私じゃないですか」
咲夜はそこで一度息をついた。
「嫌いな人ランキング、空気読めない人ランキング、ウザい人ランキング、偽善者ランキング……あのとき言わなかったですけど、実は他にも占領してたっていう」
「咲夜さん、それは、」
「事実です」
佐藤の言葉を遮るように、咲夜が言った。
その声は、先ほどまでの酔いに任せた調子とは少し違っていた。
「辛かったけど……クラスのみんなが私で嫌な思いをしたのは事実です」
咲夜はグラスの水を見つめたまま、続けた。
「佐藤さんは今、私から話聞いてるから、もしかしたらそんなことないとか思ってくれるかもなんですけど、逆だったらわからないじゃないですか」
指先がグラスの縁をなぞる。
「一人と大勢と、どっちの気持ちが大事かっていったら決まってるじゃないですか……。てか、そもそも、私がみんなにしたことが自分に返ってきてるだけなんですけど」
咲夜は残っていた水を飲み干した。
空になったグラスを置いてから、少しだけ顔を上げる。
「私、ちゃんと話せてますか?」
佐藤は咲夜を見て、静かに頷いた。
咲夜はお酒の力を借りるようにして、ぽつりと話し始めた。
「誰もが納得するランキングでした……」
佐藤は咲夜の顔を見た。
「咲夜さんに欠陥があるからってことですか?」
「そーでーす」
咲夜はあっさりと答えると、店主の方へ顔を向けた。
「すみませーん、おかわりください」
「……すみません、お水もください」
佐藤が横から注文を付け加える。
「大丈夫ですよ?」
「赤いんで、飲んでください」
「はーい」
咲夜は素直に返事をして、運ばれてきた水に口をつけた。
グラスを置くと、少し間を置いてから、また話し始める。
「クラスにいじめられてる女の子がいたんです。その子は一切悪くなくて、いじめっていうのは、その子の趣味をバカにする感じのやつでした」
佐藤は口を挟まず、咲夜の話に耳を傾けていた。
「私が気づいたときには、もうその子に関しては何言ってもいいみたいな空気にクラスがなってました。キモいとか……本人に聞こえるかどうかも関係なくなってました」
咲夜は言葉を探すように、いったん視線を落とした。
「それで私、その子に頼まれたわけでもないのに勝手にキレて……正義感振り翳したっていうか、キモいのはみんなだよ、みたいなこと言っちゃって」
自分の言った言葉を思い出しているのか、咲夜の声は少しずつ小さくなっていった。
「その子、次の日から学校来なくなっちゃって、そのあと転校したんです。その子をさらに追い詰めて、クラスの雰囲気ぶち壊しました」
「……」
「みんなからしたら、私が同じクラスにいるのが不快だったと思います。てことは、嫌がらせしてんの私じゃないですか」
咲夜はそこで一度息をついた。
「嫌いな人ランキング、空気読めない人ランキング、ウザい人ランキング、偽善者ランキング……あのとき言わなかったですけど、実は他にも占領してたっていう」
「咲夜さん、それは、」
「事実です」
佐藤の言葉を遮るように、咲夜が言った。
その声は、先ほどまでの酔いに任せた調子とは少し違っていた。
「辛かったけど……クラスのみんなが私で嫌な思いをしたのは事実です」
咲夜はグラスの水を見つめたまま、続けた。
「佐藤さんは今、私から話聞いてるから、もしかしたらそんなことないとか思ってくれるかもなんですけど、逆だったらわからないじゃないですか」
指先がグラスの縁をなぞる。
「一人と大勢と、どっちの気持ちが大事かっていったら決まってるじゃないですか……。てか、そもそも、私がみんなにしたことが自分に返ってきてるだけなんですけど」
咲夜は残っていた水を飲み干した。
空になったグラスを置いてから、少しだけ顔を上げる。
「私、ちゃんと話せてますか?」
佐藤は咲夜を見て、静かに頷いた。