君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜
『思いったったらすぐ行動』そう自分自身に言い聞かせる。3年ほど前から相棒になった白杖を握り、目的の海沿いのカフェに向かう。
夏の日差しは朝から強くて、ほとんど見えない私でも明るさだけはまだ分かる。
日差しを遮るようにキャップを深く被り直す。今日は火曜日だから、この時間帯は人気のカフェも空いているはず。
この場所は涼さんとの思い出の場所。
渡米する最後の日に連れてきてくれたカフェだった。
あの日彼はアイスコーヒーを、私はアイスミルクティーをテイクアウトして、クロワッサンサンドと一緒に海辺で食べた。一つ一つ些細な事でも未だ忘れられない。
そん自分に苦笑いしながらも、同じものを注文してしまう。
窓際の海を見ながら座れるカウンターが今の私の指定席だ。
景色を見る事は出来なくなったけど、この潮の香りと波音はあの頃となにも変わらない。未だ未練がましい自分がいる。もう、5年も前の事なのに…。
パソコンを開いて仕事を再開する。
パソコンを使う時は音声ガイダンスが欠かせないから、イヤフォンで音声ガイドを聞き取りながら、点字版に落とし込む。
今の時代、点字翻訳機やアプリなどもあるのだけれど、やはりまだまだ精密度に欠ける。漢字の読み間違えや不自然さがあるし、何より気持ちが通ってないと院長先生は言う。
必要ならば、目の見えない人が分かりやすいよう言葉を変えてくれて構わない。そう言ってくれた。
例えば、お薬一つにしても視覚でしか分からない情報、色や文字で示されていたりする箇所を、私が形や触感に置き換えて翻訳する。
そういう些細だけど大切な事を読み取りながら、より視覚障害者に寄り添うように気を付けている。
それは同じ視覚障害者の私にしか出来ない事だと思うから。
夏の日差しは朝から強くて、ほとんど見えない私でも明るさだけはまだ分かる。
日差しを遮るようにキャップを深く被り直す。今日は火曜日だから、この時間帯は人気のカフェも空いているはず。
この場所は涼さんとの思い出の場所。
渡米する最後の日に連れてきてくれたカフェだった。
あの日彼はアイスコーヒーを、私はアイスミルクティーをテイクアウトして、クロワッサンサンドと一緒に海辺で食べた。一つ一つ些細な事でも未だ忘れられない。
そん自分に苦笑いしながらも、同じものを注文してしまう。
窓際の海を見ながら座れるカウンターが今の私の指定席だ。
景色を見る事は出来なくなったけど、この潮の香りと波音はあの頃となにも変わらない。未だ未練がましい自分がいる。もう、5年も前の事なのに…。
パソコンを開いて仕事を再開する。
パソコンを使う時は音声ガイダンスが欠かせないから、イヤフォンで音声ガイドを聞き取りながら、点字版に落とし込む。
今の時代、点字翻訳機やアプリなどもあるのだけれど、やはりまだまだ精密度に欠ける。漢字の読み間違えや不自然さがあるし、何より気持ちが通ってないと院長先生は言う。
必要ならば、目の見えない人が分かりやすいよう言葉を変えてくれて構わない。そう言ってくれた。
例えば、お薬一つにしても視覚でしか分からない情報、色や文字で示されていたりする箇所を、私が形や触感に置き換えて翻訳する。
そういう些細だけど大切な事を読み取りながら、より視覚障害者に寄り添うように気を付けている。
それは同じ視覚障害者の私にしか出来ない事だと思うから。