ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「自分から言ってきて固まるな。どこかないの? 行きたいところとかしたいこと」

「えっと……あ、ります」

「うん? なに?」

 そう問いかけてくれる声が優しい。優しくてそれだけでもうなんだか泣きそうになるけど、泣かない。涙が滲むようなことがあってもこぼさない、それだけは決めたんだ。

「す、水族館」

「おー水族館。もう久しく行ってないな。〇〇水族館?」

 問われて頷く。その水族館が出来たのは数年前で、出来た当初はすごい人気だった。今はもちろん落ち着いてはいるものの定期的にイベントが行われたりして、夜のイルカショーが有名である。
 
「私も……全然で、その……バカみたいなんですけど、好きな人と行くまでとっておいたんです」

 恥ずかしい告白。本当にバカみたいだ。
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