ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「おっ……」

 グイッと、自分の方に引き寄せるようにして安積さんの腕に巻き付いて相手の人を睨みつける私。

 相手も急に顔をスンッとさせて睨み返してくるから威嚇し合う殺伐とした空気が辺りを包んだ。

「電話はしませんっ!」

「……あなたの意見はいらないんですけどぉ」

 言い返されてムッと表情を歪めたらプッと頭の上に笑い声が落ちてきて、その笑い声に見上げたら安積さんがクスッと微笑む。

 微笑まれたら怒っていた気持ちがシュンッと萎んでいくから、私は絶対安積さんと喧嘩をしてもすぐに絆されて許してしまうんだろうな、なんてどうでもいい事を考えていたらいきなり肩を抱かれた。

「え……」

「彼女が来たんで、すみません」

(か――っ!)

 一瞬で体が沸騰した。

 そのまま肩を抱き寄せて女の人の横をするりと通り抜ける安積さん。私はその腕に導かれるままだ。
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