ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「いつもと雰囲気全然違う。可愛くてびっくりした」

「!」

 そう言って抱かれていた手が肩から外れたと思ったらそのまま頭をポンッと撫でられた。

「チケット、買っといたし行こうか」

(むむむ、無理ぃっ!)

 今日私はきっと寿命を縮める。無駄に心拍数を速めて、幸せを噛みしめまくって生き急ぐんだ。

 これは今だけ、期間限定の限られた時間。頭では分かっている。

 その時間にもしかしたら奇跡が起きて永遠に続いてくれるかもしれない。

 でも今その奇跡は起きなくて、未来に期待するだけの儚いもの。

 だからどうしたって今なんだ。


 この今瞬間、目の前が――私に降りたった奇跡だから。

 どれだけ胸を締め付けられても、目を反らさずにこの瞬間を焼きつけたい、そう思った。
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