ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 振り向く勢いが強かったら唇が触れていたかもしれない、それくらいの距離感。

 そんな普段絡み合わないような目線の位置関係。

 思わず距離を取ろうとして仰け反ったら安積さんが慌てて声を荒げる。

「こら! ちょっと待て! 危ないから」

「え、あ、きゃあ!」

 エレベーターの足元がもう終わりを告げていた。それに気づかず体だけ仰け反らせて足元をふらつかせた私の腰を安積さんの長い腕が巻き取る様に抱えてくれて、体がグイッと安積さんに引き寄せられた。

(わ、ぁっ!)

「足元気を付けろって言ったよな?」

「すす、すみませんっ……」

「いろいろ危なっかしいな、四宮は」

(え)

「四宮こそもっと自覚して暮らさないといつか怪我するぞ?」
 茹だった私にそんな風に告げる安積さんの表情は困った感じで、でもなんだか愛を感じてしまった。
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