ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 相手を可愛いと思う気持ち。これは一体なんなのだろう。

 最近ボーッとするとそんなことばかり考えていい年したおっさんが気持ち悪いな、と思っている。


 四宮こと葉。
 部下の時に可愛いというカテゴリーにいなかったわけではない。素直で謙虚で、前向きで。単純に愛嬌のあるタイプだ。

 顔だって普通に可愛いと思うし、四宮を相手にして嫌いになる男はそういないのではないか。そう思えるような魅力的な子だ。

 それもあくまで仕事場で、オフィス内だからこそ見えて感じていた部分。

 可愛いはそう、好感度の上乗せのような付随的ワードだった。

 いろんな意味で”可愛い”である。ただ、プライベートな四宮となるとそうも言えず知らなかった部分を知らされるとその戸惑いはかなりある。

 (突拍子もなくて強引で、目の前しか見えないみたいな感じになっちゃってるよなぁ。それでも……)

 ふとした時に見せる態度や表情はオフィスの四宮なのだ。控えめで一歩下がって指示を待つようなそんな控えめさがあるのに。二人になった途端距離が近い、投げてくる言葉が直球。思いもポロポロこぼして……必死な姿が仕事の時には見せたことのない感じでそれが結局可愛いに結び付かれて行く。
< 134 / 248 >

この作品をシェア

pagetop