ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 医務室でも顔色が悪いと言われて、本当に気分が悪くなっていた。言霊ではないけれど、勝手に体調を崩して本当に馬鹿だ。

「とりあえず横になって、帰れそうなら今日は帰宅したほうが良さそうですね」

 産業医にそう言われて素直にベッドへ横になった。

 考えたい事考えたくない事いろんな思いが交差して頭の中はグルグルしてきて熱でも出せそうだ。なんだか振られた時よりも苦しい、胸が痛い。

 本人だけじゃなく、第三者からも釘を刺されたのが決定的だった。諦められない私を神様が諦めろと柳瀬部長の口を使って言わせているんだろうと、そう思った。

 私には信じたい希望みたいなものしかないんだ。

 柳瀬部長みたいに安積さんの過去を知らない、いろんなことを知らなすぎる。だから柳瀬部長の言葉を嘘だなんて否定できない。

 きっと、本当のこと。そして柳瀬部長は本当に親切心で伝えてくれたのだろうと分かるから。

 私のために、そして安積さんのために――。
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