ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「どうした?」

「え?」

「顔色が悪い。気分悪いの?」

「え……」

「医務室に行け」

「だ、大丈夫です……別に何でも……」

 見つめられる視線に耐えられなくてあからさまに視線を避けてしまった。今安積さんの顔を見れない、私の顔だって見せたくない。

「……そう? 無理するなよ?」

 首を縦に振って頷くと当たり前だけれど安積さんの表情は見えない。なるべく平静を保たないと、仕事でまで迷惑をかけたくはない。

「前に本部長から聞かされてたと思うけど、生産工場の会社概要メールで送ったから確認しといてくれる?」

「はい、わかりました」

 そばにいてくれるのはいつだって胸がときめいて嬉しかったのに、今だけは言葉に出来ないほど苦しい。息が詰まる、それくらい苦しくて。

(もう、そばにいることだって叶わなくなるの?)

「……四宮? やっぱり……」

「やっぱり医務室行ってもいいですか?!」

 その場にいるのが耐えられなくなって、返事も聞かずに椅子から立ち上がる。安積さんが何かを言いかける前に、私はそのままオフィスを飛び出してしまった。
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