ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 ひとりで涙している姿……そんなものを想像して胸痛まないわけはなく。

 何度か泣きそうになる四宮を見てきている。思いをぶつけた時や嬉しそうな時でも……四宮は結構感情が表情に出るから分かりやすくて助かる。鈍い俺でもそれなりに気持ちがわかるから。

 そして涙を滲ませても四宮の瞳から涙がこぼれ落ちることは未だなかった。

 泣いたら俺が困る、きっとそう思って堪えているんだろうな、それがわかったからこそ健気だな……そう思っていた。

 そんな健気さが、痛々しいほどでだからこそ――可愛かった。


 ひとりで泣くのか。

 それは……一番させたくないことだった。

 そうやって泣かせて……ひとりでずっと抱えて壊れてしまった恋人を思い出す。寂しさや不安を訴えられても本気で受け止めてやれず、俺に対しての依存が強くなった。

 ちょうどその頃海外出張が増え出して俺自身が仕事にのめり込んでしまったのも運が悪かった。同時進行ができないのだ、ひとつに集中したら他がおざなりになる。

 それは結果彼女をますます不安にさせて感情コントロールが効かなくなった彼女は次第に自傷行為を始めていた。
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