ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 そして当日、行ってみたかったカフェに連れて行ってもらう。

 そこは少しお値打ちケーキで……気軽に食べるには敷居が高い。一ピース千円以上、ホールケーキなんかは安くても六千円はする。煌びやかなフルーツをふんだんに使うタルト専門店で、ショーケースがキラキラしている。

「ホールケーキじゃなくていいの?」

「ランチも食べるしきっと食べきれないです。ここ一切れが大きいんですよ。だから好きなタルトを食べたいです。安積さんは甘いの平気ですよね?」

「うん……好き」

 好き……そうつぶやく声が可愛くて。そして胸にキュンと響く。好きなのは甘い物、そんなことはわかっている。でも私に向かって好きというフレーズをこぼしてくれたのだ。録音して取っておきたい。

「好きなフルーツあります?」

「うーん……でもベタに苺。とちおとめだって、うまそう」

 ルビーみたい艶めく苺を見つめる安積さんが可愛すぎる。大人の男の人だけど、そんな無邪気な顔して苺を見つめているのだ。どこで年齢差を感じたらいいのだろう。

「四宮は?」

「ええ……うーん……悩んでるんですけど……ミックスベリーのリコッタチーズかせとかのキャラメルマスカルポーネ……ええ、どうしよう。でも私も苺大好きなんですよね」

 うんうん唸りながら悩んでいたら微笑まれる。

「苺なら俺ので食べられるじゃん?」

「え?」

「せとかは季節限定だって」

「……せとかにする?」

「食べるの四宮」

 そんな会話をして笑い合った。
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