ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 寂しさの波に埋もれて、息が出来なくなって……死ぬかもしれない、それは大げさな言い方だけれど。

 きっと当たり前の日常は続いていく。

 望まなくても夜が来て、朝を迎えるように。

 毎日オフィスに来て、目の前の仕事をさばいてお腹がすいたらご飯を食べて、後輩たちと飲みにだって行くのだろう。

 人はそうやって日常を繰り返して生きていく、きっと生きていけるのだ。
 
 心にぽっかりと大きな穴を開けて、その隙間を埋められず、時に思い出して涙しながら風化させるのだろう。


 先日の誕生日が嘘みたいだった。
 固めた気持ちがどんどん揺らいで、会えない時間は安積さんを想う分、終わる最悪のイメージばかりが膨らんできていた。

 溜息をこぼしながらメールボックスを開けたら、チーム全員宛に送信されている安積さんからのメール。

 来週帰国の予定が早まって今週末に戻れると連絡が入っていて私の胸は一気に跳ねた。

(帰って来る……!)

 待ち望んでいた時間が訪れる。
 してもらっていることばかり、だから今度は私が何かして返したい。純粋なその気持ちで私は安積さんを労わる計画を立てだしていた。
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