ダーリンと呼ばせて～嘘からはじめる三カ月の恋人～
　金曜の昼過ぎ。

　安積さんが中国から帰国して、空港からその足でオフィスに戻った。それでも柳瀬部長とすぐにミーティングルームにこもり結局定時まで顔を見れず。待ちたい気持ちはあったけれど、帰国して忙しい状況。私に気を遣わせることも嫌だ。週末はきっとゆっくりしたいだろう、そうは思うものの欲が出る自分がいた。

（日曜日……会えないかな）

　今日明日はゆっくりしてもらって、日曜日に少しだけお疲れ様会をしたい。その気持ちを携帯の方にメッセージだけ入れて顔を合わすことなくその日は帰宅した。それの返事で携帯が震えたのは深夜だった。


【連絡全然かえせてなくてごめん。日曜日、会おう】


　そのメッセージを夜中に見て一瞬で目が冴えた。

　日曜日は私の部屋へ招くことにした。

　最初は遠慮されたけれど、ゆっくり過ごしたいからとまた私の我儘を押し付けた。
　
　前日の土曜日は部屋を一斉掃除して空気を入れ替えて、普段買わないような花まで買って花瓶に生けた。

　当日作るには時間がかかるチキンに下味を漬けて味を馴染ませて焼くだけにしておく。グリルした色とりどりの野菜たちにはマリネ液をさっとかけて、すぐに食べられるものだが翌日は味がなじんでより美味しく食べられる。

　お茶菓子にマドレーヌも焼いた。スープやキッシュを明日調理するにして料理の段取りを組みながら安積さんと過ごす時間を待ち望んだ。
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