ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「俺がもっとちゃんとこの気持ちを四宮に伝えていればよかった。今それを後悔している」

「え……」

「四宮の優しさに甘えてきた。自分の弱さから逃げてきた。最初からちゃんと話せばよかった」

 そう言って安積さんは言葉を続けるのだ。

「俺はもう恋愛しない。誰のことも好きにならない。誰かと一緒にいて愛されたとしても……俺がそれを返して受け止めることも支える自信もないんだ」

「……それが、安積さんの言ういろいろですか?」

 年齢差じゃない、距離じゃない。安積さんが言わずにいた過去の恋愛のせいなのか。

「ボーダーってわかる?」

「ボーダー? わ、わかりません」

「境界性パーソナリティっていう感情行動、対人関係が不安定になりやすいパーソナリティ障害。思い込みとか見捨てられたらとか、感情が不安定で精神的コントロールが難しいことが特徴で、ひどければ日常生活にも支障をきたすような心の病気。別名ボーダー」

 聞きなれない病名を聞かされて一瞬呆気に取られる。
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