ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 ――優しさじゃない。

 そう言った声は、ひどく冷たい声で。

「そんなのは優しさじゃなかった。そして四宮にだって同じことをしている」

「え……」

「四宮の気持ちに少しでも応えてやれたら……同じ、傲慢だよ」

「私はその彼女さんとは違います!」

「四宮と彼女を同じだと思ったことは一度もないよ」

「だったら!」

「俺が、変われない」

 そう言われたら何も言えなくなる。それでも……しがみついてしまう。

「約束と違う、期限が来るまで……その約束でした」

「それでも……時間をかけたところで答えは変わらない。単純に期限も切れた、もう続ける意味がない」

(意味がないなんて、言わないで……)


 あなたと一緒にいる時間を、一緒にいたいと思う気持ちを――意味がないなんて言わないで。

 
「私は……許される時間まで一緒にいたいんです!」

「四宮……」

「私はっ……安積さんと一緒にいたいっ……」

 その言葉と一緒にぼろぼろと涙をこぼす私がいる。ダメだ、もうダメだ。

 今日私の中での涙腺は壊れた。自分の意志なんかない、止められない。
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