ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 では、思いを伝えないのがベストな答え?

 この抱き続けた積年の思いを、ずっと胸に秘めて笑ってお別れを言うのか……。

 それも健気でいいのかもしれない。部下として上司として慕っていたと笑って見送る? 本当は……貴方のことが大好きでした、その思いを胸に秘めて。

(無理、どれも無理……)

 どの選択肢だって切ないだけだ。

 そしてやはり答えが残る。このまま諦めることが出来ない、その答えが。


 ずっとずっと好きだった。

 上司として信頼して、信頼してもらいたくて、それでもやっぱり部下としてだなんて嫌なんだ。私は上司としての安積さんを好きになったけれど、ひとりの男性として焦がれるほど見つめてきたから。今はまだ上司としての安積さんしか知らない。私だって部下としての四宮こと葉としてしか知っていてもらえない。


 なにも――始まっていない。

 だからなにも――終わらせられたくない。
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