ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 これを最後にするの。


「あの日、安積さんに言われた言葉に私、泣いてごねて……嫌だって気持ちばかり投げつけて安積さんを困らせましたよね。安積さんが伝えてくれた気持ちとか抱えていた思いを聞かされて、そんなの全部無視して私の気持ちだけ……私はずっと自分の気持ちばっかり押し付けて……最後までそれは嫌です」
 
 同じ時間を過ごせたのなら、その時だけは一緒にいたかった。
 
「私だけが幸せなら……そんなの意味ないから。私は誰よりも安積さんに幸せになってほしい」

「……」

「忘れます」

 思い出にしたい、そう言って安積さんとはじめた嘘の恋人、期間限定の恋人。
 
「もう、安積さんのことは忘れます……だから安積さんも、私とのことはもう忘れてください」
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