ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「四宮に、忘れてくれって言われたあの日……呼び止められなかった。俺が突き放して泣かせただろうに、まだ俺のために忘れろと言った四宮を……抱きしめてやれなかった」

「それは……私が勝手に……」

「俺には忘れるなんか出来ない、四宮のことを。四宮と過ごした時間を……忘れたくなんかない」

「……」

「覚悟がなかった。誰かを好きになることも、一緒に過ごす時間も、いつどこかで見落としてまた……そう思うと誰かと生きるなんて選択肢を選べない。そう思うくらい怖くなって逃げた、人を好きになることを」

 キラキラと舞っていた金色の雪はスノードームの底に落ちてしまった。安積さんがこぼす言葉と一緒に手のひらの中に包み込まれるみたいで……。

「でも四宮のことだけは……逃げたくない。こんな俺を好きだと、まっすぐ言ってくれる四宮だから……俺が手放したくないんだ」

「……」

「覚悟がなかった、何度も傷つけて泣かせたのもわかっている。四宮の優しさに甘えて言い訳ばかりした。それを全部なかったことにしたいなんか言えない。それも含めて全部……これから俺が四宮に尽くしたい」

 これはやっぱり夢だろうか。

 クリスマスの願い事? 奇跡が目の前に舞い降りているのか。安積さんの口から信じられない言葉が紡がれていく。それも私に対して……私への想いを。

「四宮……それは、なんの涙?」

「ぁ……え?」

 ハッとして指先で頬に触れたらこぼれていた涙。ポロリ、落ちたらまたボタボタとこぼれ落ちてきて……。
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