ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 まさか年齢が仇になるとは思わなかった。

 私は安積さんとの年齢差を無視したことはなかったが壁にしたことはなかったから。

「一緒にいるほど感覚とか価値観のズレが起きると思う」

「だから、ダメだと……言うのですか?」

「若い四宮を、俺なんかで縛り付けたいとは思わない。それに……」

「それに、それに何ですか?!」

「四宮は、知ってるだろ? 俺がもうここを離れる事。日本を離れるんだ」

 そんなことは知っている。それを知っているからこうして……そう思うのに声にならなかった。安積さんが分かりやすいほどの心の距離を取っているのが目に見えて分かるからだ。

 受け入れない、放つオーラがそう言っている。

 こっちに来るな、そう拒絶されているようで、優しい声とは裏腹に安積さんをまとう空気が冷たくて……言葉に出来ない。

「四宮の気持ち、気まぐれだとしても嬉しいよ。それでもそれには応えられない」
 
 はっきりとそう言って振られてしまったのだ。
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