ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「……なに?」

 それでも安積さんから口を開いてくれてどうしたって胸が疼いた。キュンっと締め付けてくる。

 優しい人だ……無視したっていいのに。幼い私をもっとキツく突き放したっていいのに。困っているくせにそんな優しい声で聞いてくれるんだから。

「……ごめんなさい。休憩されてるところに無理言って」

「そんなことは……いいんだけど」

 振ったはずの相手がそのまますごすごと引き下がると思っていたのだろう。安積さんだって私とまた二人きりになるなんてきっと予測していなかったはずだ。だからこそ伝えたい。

「金曜は突然すみませんでした。安積さんを困らせたかったわけではなく、私の自己中な思いで気持ちを伝えたかっただけでした。本当にすみません」

「……」

「安積さんの気持ちは理解しました。それから色々考えて……色んなことを考えました。それでもやっぱり私は好きです、どうしても安積さんが。諦められません」

「いや……」

 (だから決めたの)
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