ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 世界が――変わった。

「安積さん……」

 見上げて名前を呼んだら振り向いてくれる。

「ほ、本当に?」

 自分から言っておいて何度聞くのだ。自分で突っ込んでしまうが聞かずにはいられないのだ。信じられない、信じたいけどまだ信じられない気持ちの方が大きくて。そんな私の気持ちを察してくれたのか、小さく笑うとこくりと首を縦に振ってくれて……言われた。

「あとでメール入れとく」

「……え」

「連絡先」

「――っ!」

 始まる私たちの秘密の恋。
 諦めさせてほしい、そう言って作ってもらった関係だけど本当は違う。


 私はひとつだけ安積さんに嘘をついた。

(諦めない、私は。絶対に諦めたくないの)

 安積さんに好きになってもらうことを諦めたくなんかない。この三カ月で絶対好きになってもらうんだ。
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