ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 好きなところを見つけてまた好きになって、知らない部分を探しては見つけてまた好きになる。

 思いを伝えないと始まらないことは分かっているが、そんな簡単に自分の気持ちを告げることはできなかった。

 ここはオフィスで、仕事をするところで……上司と部下。絶対的にこえられない壁があって、その壁を飛び越えるほどの勇気を持ち合わせていない。

 だからずっと――ずぅっと密かな片思い。
 

 今はまだ、このままでいさせて。
 今はまだ、この距離で安積さんを見つめさせて。

 この時はまだそう思っていた。
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