ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 ザバッと湯船からあがり濡れた体にバスタオルを巻き付けて洗面台の鏡の前に立つ。
 
 赤く染まった頬は湯あたりしたせい? ううん、絶対違う。これはきっと安積さんのことを思って、思い返して赤面しているだけだ。想像するだけで身悶える。考えるとそれだけで声になりそうで必死で気持ちをコントロールさせようとしている自分が滑稽だ。それくらいやはり舞い上がっている。有頂天とはこのことか。

(恋人……になった? でも……)

 化粧水を肌につけながらフト考える。

 自分の恋愛経験、過去の付き合った恋人との関係を思い出して一気に気分が下がってしまった。

 私は大した恋愛経験を積んできていない、彼氏と呼べる人もたった一人だけだ。しかもその一人と楽しかった思い出ばかりで終わったものでもない。

(むしろ黒歴史……忘れたい思い出かも)
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