ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「大人の恋ってどんな感じなのですか?」

 直球で問いかけてしまった私に安積さんが飲みかけていたコーヒーを噴いた。

「あっち!」

「きゃあ! 大丈夫ですか!」

 カウンターに置かれているフキンを手に取り、紙ペーパーを安積さんに数枚渡す。

「四宮、場所考えようか」

「あ、す、すみません」

 定時を過ぎて、カフェブースに人がいないをいいことに思わず声にしていた。頭を下げながらこぼされたコーヒーを拭きつつ安積さんに問いかける。

「大丈夫ですか? 火傷してません?」

「……大丈夫。ちょっと……奥行こうか」

「あ、はい……」

 半ば強引にミーティングルームに連れられた。
 パタン、と扉が閉められて軽く咳ばらいをする安積さん。やっぱり火傷したんじゃないかな、と心配になるがそのきっかけを与えたのは私なのでもう何も言えない。

「急にどうした?」

「え、あの……」

「大人の恋? なにそれ」

 そう言って笑うのだ。
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