ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「好きだって、ちゃんと気づけたのは二年目です。それからもうずっと、安積さんが好きです」

 ぽろぽろとこぼされていく告白に赤面する四宮。赤くなるのはこっちだ。

 (無理)

 顔の赤さを指摘されて本気で勘弁してくれと思う。しかもまだ軽く揶揄うみたいに四宮が聞いてくるのだ。

「そんな……私よりもずっと恋愛慣れしてるでしょう?それこそ安積さんは大人、なんだし」
 
 大人なんか関係ない。年齢なんかどこまでも表示なだけだ、そんな言葉を四宮相手には絶対こぼせはしないけれど。

 それくらい、俺は大した大人なんかじゃない。恋愛こそ、自慢できることも教えてやれることだってないのだから。

「……ずっと恋愛からも離れていたのに」
 
 ずっと――。

 もう恋愛なんかしたくない、そう思うほどに敬遠していた。

「安積さんは、どんな恋愛をされてきたんですか?」

 そう問われて過去に触れられそうで咄嗟に壁を作った、それに四宮はすぐに気づいてしまいそれ以上は口を噤んでしまう。

「……すみません」

 謝られてこちらが申し訳なくなる。四宮が頭を下げる理由などない、大人げない俺が悪かった。

 そして言いたくなった。これがまた言い訳だと思われたとしても……。

「四宮が、どんな恋愛をしたいのか。それの方が大事じゃないのか?」

 過去よりも……今が大事なんじゃないか。

 それは――誰に言っているのか。
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