注意、この脚本は本当です
最終話 それでも、ありがとうと言いたくて
◯帰り道、電車の中(夕方)
梨里杏「……終わっちゃったね」
蓮「だな」
梨里杏「……ねえ、このあと時間ある?」
蓮「あるけど」
梨里杏「ちょっと海寄ってかない?」
蓮「お、おう」
梨里杏と蓮は近くの海に向かった。平日の夕方ということもあり、海には誰もいなかった。
◯海(夕方)
梨里杏「……あー!!やっぱり悔しい!!」
蓮「ぅおっ!?びっくりした、急になんだよ」
梨里杏「悔しい……悔しいよっ……!!」
梨里杏は号泣しだした。
蓮「っ、泣くなよ……っ!」
梨里杏につられて蓮も少し涙を流した。
梨里杏「だって……だって蓮と、小雪先輩と一緒に出れる大会、これで終わっちゃったんだもん……!もう、いないんだもん……!」
蓮「っ、う、俺だって、俺だって悔しい……!全国まで、あと一歩だったのに……!」
2人はその場でしばらく泣いていた。
少し落ち着くと、2人は近くにあるベンチに移動した。
梨里杏「……ごめんね、急に泣いちゃって」
蓮「……講評、見てもいいか」
梨里杏「うん、私も気になってたし」
蓮は封筒から講評を取り出した。
『BGMが少し大きい』
『効果音がわかりにくい』
『構成がしっかりしている』
梨里杏「……百合の告白、本物の告白のように聞こえてとてもロマンチックだった」
蓮「あ、えっと……よ、良かったな、そう思ってもらえて」
梨里杏「うん、だって本物だもん」
蓮「え?」
梨里杏「蓮、私もずっと、蓮のことが大好きだよ」
蓮「それ、百合の……」
梨里杏「今は……ううん、録音のときもずっと、蓮のことを思ってた。最初は、これが恋なのかわからなかった。でも、蓮がラジドラ作ろうって決めて、ひたむきに、毎日毎日頑張ってて、それが本当にかっこよかった」
蓮「……へ……」
蓮は顔を赤らめた。
梨里杏「昔から少し恥ずかしがり屋で……でも、変わらずずっと優しくて。そんな蓮が、私は大好きです」
梨里杏は蓮の手を握った。
蓮「……ありがとう」
梨里杏「こちらこそ……ラジドラを作ろうって言ってくれて、私の思いを気づかせてくれて、ありがとう」
それから蓮と梨里杏はしばらく海を眺めていた。
◯約1年後、放送室(放課後)
梨里杏「……果音ちゃん、入ってくれて本当にありがとう」
果音「最初はわけわかんなくて逃げちゃったんですけど……でも、先輩方の作ったラジオドラマが本当に素敵で、頭から離れなくて……!」
回想(昨年、県大会終了後)
全校集会
校長「えー、放送部のみなさんが、県大会奨励賞という素晴らしい結果を残しました。そのラジオドラマを皆さんにも聞いてもらいたいと思います」
梨里杏・蓮「えっ!?」
蓮「ちょっ、聞いてねぇよ」
梨里杏「まさかっ……」
小雪と谷口が蓮と梨里杏に向かってピースをしている。
蓮「お前ら……!」
『創作ラジオドラマ、あの日をもう一度』
蓮と梨里杏は顔を真っ赤にしながら壇上を駆け下りた。
回想終了
梨里杏「あれ本当にびっくりした……結構キツかったよ……でも、そのおかげで果音ちゃんが入ってくれたから、よしとするかな」
果音「はいっ!」
梨里杏「くせで部室寄っちゃったけど、私実質引退の身だから帰るね」
果音「わかりました、それに本来今日部活ないですもんね」
梨里杏「じゃあ、鍵閉めて帰ろう」
果音「……もしかして、今日蓮さんとデートですか?」
梨里杏「なっ……、そ、そんなに私わかりやすいかなぁ」
果音「顔から、楽しみ〜ってオーラが溢れ出てますよ」
梨里杏「う……鍵は私が返してくるから、果音ちゃんは先帰ってて」
果音「はい!お疲れ様でした」
果音は帰路につき、梨里杏は職員室に向かった。
梨里杏「3年2組、河野梨里杏です。放送室の鍵を、戻しに……え?」
蓮「よっ」
梨里杏が職員室に行くと、そこには蓮と谷口がいた。
谷口「よぉ梨里杏、王子様が迎えに来てるぜ」
梨里杏「ちょっ、蓮、玄関で待っててって言ったじゃん……!」
蓮「いや、俺もそうしたかったんだけど、先生に見つかって……」
谷口「連行しました」
梨里杏「はぁ……鍵返しに来ました」
谷口「ほーい、んじゃ、デート楽しんでこいよ〜」
梨里杏は顔を真っ赤にしている。梨里杏は蓮と即座に職員室をあとにした。
谷口「いやぁ、若いねぇ……」
女性教諭「あら、あの2人まだ付き合ってたのね!可愛らしいわぁ」
男性教諭「音無、高校のときは恥ずかしそうにしてたくせに、卒業した瞬間河野の前で恥ずかしがらなくなったよなぁ……」
谷口「ほーんと、青春って感じですわ……」
職員室にいる先生方はにやにやしながら蓮と梨里杏を見送った。
◯海(夕方)
梨里杏「あ、そうだ。そろそろ地区大会と新入生勧誘の準備忙しくなるからしばらく会えないかも」
蓮「重々承知の上だよ、大学生は暇だから、気にすんな。今しかできないことを、梨里杏なり頑張れ」
梨里杏「うん……ありがと」
蓮「大会終わって、引退して、受験終わったら、またたくさん遊ぼう」
梨里杏「あ、じゃあ一つお願いしてもいい?」
蓮「なんだ?」
梨里杏「プラネタリウム、行きたい」
蓮「……おっけい、次は眠くならないように頑張るわ」
梨里杏「あはは、なにそれ……ねえ、蓮。あのとき、ラジドラ作ろうって言ってくれて、本当にありがとう」
蓮「なんだよ今更」
梨里杏「大会終わった日にも言ったけどさ、本当に嬉しかったんだ。今まで放送やってても、なんにも自信なくて……でも、ラジドラのおかげで朗読も自信持てた。最後の大会で、小雪先輩みたく県大会進出……いや、全国を目標に頑張るつもり」
蓮「……そうか」
蓮は梨里杏の手を握る。
蓮「俺には応援することしかできないけど…梨里杏なら絶対、大丈夫」
梨里杏「うん…ありがとう。蓮」
蓮「ん?」
梨里杏「大好き」
蓮「俺も」
梨里杏「……終わっちゃったね」
蓮「だな」
梨里杏「……ねえ、このあと時間ある?」
蓮「あるけど」
梨里杏「ちょっと海寄ってかない?」
蓮「お、おう」
梨里杏と蓮は近くの海に向かった。平日の夕方ということもあり、海には誰もいなかった。
◯海(夕方)
梨里杏「……あー!!やっぱり悔しい!!」
蓮「ぅおっ!?びっくりした、急になんだよ」
梨里杏「悔しい……悔しいよっ……!!」
梨里杏は号泣しだした。
蓮「っ、泣くなよ……っ!」
梨里杏につられて蓮も少し涙を流した。
梨里杏「だって……だって蓮と、小雪先輩と一緒に出れる大会、これで終わっちゃったんだもん……!もう、いないんだもん……!」
蓮「っ、う、俺だって、俺だって悔しい……!全国まで、あと一歩だったのに……!」
2人はその場でしばらく泣いていた。
少し落ち着くと、2人は近くにあるベンチに移動した。
梨里杏「……ごめんね、急に泣いちゃって」
蓮「……講評、見てもいいか」
梨里杏「うん、私も気になってたし」
蓮は封筒から講評を取り出した。
『BGMが少し大きい』
『効果音がわかりにくい』
『構成がしっかりしている』
梨里杏「……百合の告白、本物の告白のように聞こえてとてもロマンチックだった」
蓮「あ、えっと……よ、良かったな、そう思ってもらえて」
梨里杏「うん、だって本物だもん」
蓮「え?」
梨里杏「蓮、私もずっと、蓮のことが大好きだよ」
蓮「それ、百合の……」
梨里杏「今は……ううん、録音のときもずっと、蓮のことを思ってた。最初は、これが恋なのかわからなかった。でも、蓮がラジドラ作ろうって決めて、ひたむきに、毎日毎日頑張ってて、それが本当にかっこよかった」
蓮「……へ……」
蓮は顔を赤らめた。
梨里杏「昔から少し恥ずかしがり屋で……でも、変わらずずっと優しくて。そんな蓮が、私は大好きです」
梨里杏は蓮の手を握った。
蓮「……ありがとう」
梨里杏「こちらこそ……ラジドラを作ろうって言ってくれて、私の思いを気づかせてくれて、ありがとう」
それから蓮と梨里杏はしばらく海を眺めていた。
◯約1年後、放送室(放課後)
梨里杏「……果音ちゃん、入ってくれて本当にありがとう」
果音「最初はわけわかんなくて逃げちゃったんですけど……でも、先輩方の作ったラジオドラマが本当に素敵で、頭から離れなくて……!」
回想(昨年、県大会終了後)
全校集会
校長「えー、放送部のみなさんが、県大会奨励賞という素晴らしい結果を残しました。そのラジオドラマを皆さんにも聞いてもらいたいと思います」
梨里杏・蓮「えっ!?」
蓮「ちょっ、聞いてねぇよ」
梨里杏「まさかっ……」
小雪と谷口が蓮と梨里杏に向かってピースをしている。
蓮「お前ら……!」
『創作ラジオドラマ、あの日をもう一度』
蓮と梨里杏は顔を真っ赤にしながら壇上を駆け下りた。
回想終了
梨里杏「あれ本当にびっくりした……結構キツかったよ……でも、そのおかげで果音ちゃんが入ってくれたから、よしとするかな」
果音「はいっ!」
梨里杏「くせで部室寄っちゃったけど、私実質引退の身だから帰るね」
果音「わかりました、それに本来今日部活ないですもんね」
梨里杏「じゃあ、鍵閉めて帰ろう」
果音「……もしかして、今日蓮さんとデートですか?」
梨里杏「なっ……、そ、そんなに私わかりやすいかなぁ」
果音「顔から、楽しみ〜ってオーラが溢れ出てますよ」
梨里杏「う……鍵は私が返してくるから、果音ちゃんは先帰ってて」
果音「はい!お疲れ様でした」
果音は帰路につき、梨里杏は職員室に向かった。
梨里杏「3年2組、河野梨里杏です。放送室の鍵を、戻しに……え?」
蓮「よっ」
梨里杏が職員室に行くと、そこには蓮と谷口がいた。
谷口「よぉ梨里杏、王子様が迎えに来てるぜ」
梨里杏「ちょっ、蓮、玄関で待っててって言ったじゃん……!」
蓮「いや、俺もそうしたかったんだけど、先生に見つかって……」
谷口「連行しました」
梨里杏「はぁ……鍵返しに来ました」
谷口「ほーい、んじゃ、デート楽しんでこいよ〜」
梨里杏は顔を真っ赤にしている。梨里杏は蓮と即座に職員室をあとにした。
谷口「いやぁ、若いねぇ……」
女性教諭「あら、あの2人まだ付き合ってたのね!可愛らしいわぁ」
男性教諭「音無、高校のときは恥ずかしそうにしてたくせに、卒業した瞬間河野の前で恥ずかしがらなくなったよなぁ……」
谷口「ほーんと、青春って感じですわ……」
職員室にいる先生方はにやにやしながら蓮と梨里杏を見送った。
◯海(夕方)
梨里杏「あ、そうだ。そろそろ地区大会と新入生勧誘の準備忙しくなるからしばらく会えないかも」
蓮「重々承知の上だよ、大学生は暇だから、気にすんな。今しかできないことを、梨里杏なり頑張れ」
梨里杏「うん……ありがと」
蓮「大会終わって、引退して、受験終わったら、またたくさん遊ぼう」
梨里杏「あ、じゃあ一つお願いしてもいい?」
蓮「なんだ?」
梨里杏「プラネタリウム、行きたい」
蓮「……おっけい、次は眠くならないように頑張るわ」
梨里杏「あはは、なにそれ……ねえ、蓮。あのとき、ラジドラ作ろうって言ってくれて、本当にありがとう」
蓮「なんだよ今更」
梨里杏「大会終わった日にも言ったけどさ、本当に嬉しかったんだ。今まで放送やってても、なんにも自信なくて……でも、ラジドラのおかげで朗読も自信持てた。最後の大会で、小雪先輩みたく県大会進出……いや、全国を目標に頑張るつもり」
蓮「……そうか」
蓮は梨里杏の手を握る。
蓮「俺には応援することしかできないけど…梨里杏なら絶対、大丈夫」
梨里杏「うん…ありがとう。蓮」
蓮「ん?」
梨里杏「大好き」
蓮「俺も」

