【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「……ヴァネッサ」


ギルベルトが困惑するように眉を寄せている。
どうにかして誤魔化そうと腕を後ろに回して、何事もなかったように女性店員に声を掛けた。


「買い物を続けましょう、ギルベルト様」

「…………」


ギルベルトが歩いていくヴァネッサの手を引き止めるように掴む。
ヴァネッサが振り返ると、ギルベルトはヴァネッサの腰を引き寄せてか頭を撫でる。

そうして額に触れるとシルバーグレーの髪が目の前でサラリと流れた。
柔らかい感触が額に感じた。
ギルベルトの唇が触れたのだと気づいた瞬間、ヴァネッサの頬が真っ赤に染まる。
先ほどのエディットに髪を掴まれた痛みなど一瞬で消えてしまう。

(嘘……今、ギルベルト様がわたしの額にキスしたの!?)

フラリとよろめくヴァネッサを支えたギルベルトはもう一度、強く抱きしめる。
耳元で囁かれる「……ヴァネッサ無理だけはしないでくれ」という言葉。


「無理はしませんので」

「約束してくれ。君のことが心配なんだ、ヴァネッサ」

「……はい」


先ほどまで全身を支配していた恐怖が消えていく。
ギルベルトはアンリエッタを呼びに行こうと行った。
ヴァネッサはギルベルトにキスされた額を押さえつつ、彼の後について歩き出したのだった。


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