【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
エディットは現実が受け入れられずにいた。
いつも汚くて、使用人としてこき使われていたヴァネッサがエディットより上なわけがないのだ。
屈辱的な扱いを受けて、エディットの怒りは増していく。
顔が真っ赤になり拳を握りながら震えていた。

(わたくしには婚約者がいないのに、ヴァネッサにはあんなに素敵な旦那様がいるなんて……!)

それに加えてヴァネッサが嫁いだシュリーズ公爵の端正な顔立ちにもエディットは心を奪われていた。
シルバーグレーの美しい髪、長い前髪の隙間から見えるルビーのような瞳は人目を惹きつける。

噂では人体実験をしている、兄を殺して家を乗っ取ったと言われていた。
しかし実際にシュリーズ公爵を見た感想はまったく違った。
元妻が二人いたとしても当然のように思えた。
色気があり背も高く品性が滲み出ている。
悪い噂など彼への嫉妬から流されたものに違いない。
今までの怖いイメージなど吹き飛んでいく。
まさにエディットが求めていた理想の男性そのものだ。

(なんてかっこいいの……! あれがヴァネッサが嫁いだシュリーズ公爵? 噂なんて全部嘘だったのよ!)

シュリーズ公爵を見て、自分がヴァネッサの立場だったらと想像してしまう。

(もしわたくしがシュリーズ公爵家に嫁いでいたら? 彼の隣にいたのはわたくしだったのかもしれないじゃない……!)

エディットは彼に守られていたヴァネッサを想像して親指の爪を噛む。
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