【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
挨拶も終わり次の貴族と交代となる。
ここでやっとヴァネッサは周囲に目を向ける。
そこで初めて視線を集めていることに気づく。

(み、みんな見ているのはどうして!? 何か粗相をしてしまったかしら)

緊張するヴァネッサと違い、ギルベルトは余裕そうだ。
両手には琥珀色の飲み物が入ったグラス。
ヴァネッサの前へとを渡してくれた。


「ヴァネッサ、喉が渇いただろう? 水分補給は大切だ」

「ありがとうございます。ギルベルト様」


なんともギルベルトらしいセリフではあるが、今はそれがとてもありがたい。
緊張で喉がカラカラだったからだ。ヴァネッサはグラスを傾けて喉を潤す。
ホッと息を吐き出したヴァネッサのグラスを持っていない手を引くアンリエッタ。


「アンリエッタ、どうしたの?」

「お母様、見て! あそこに素晴らしいケーキとクッキーが並んでいるわ」

「まぁ……! 本当ね」


アンリエッタとヴァネッサはチラリとギルベルトに視線を送る。
期待に満ちた視線を送られたギルベルトは「少しだけだからな」と言ったのを聞いた途端に二人で歩き出す。
ギルベルトが見守る中、ヴァネッサはアンリエッタとお菓子を楽しんでいた。

どこからどう見ても仲のいい親子に見えるに違いない。
アンリエッタとヴァネッサは目を合わせてから、周囲には見えないようにニヤリと
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