【完結】悲劇の継母が幸せになるまで

ヴァネッサの言葉は二人のプライドを刺激するには十分だったようだ。


「何を……誰に何を言っているかわかっているの?」

「その言葉、そっくりそのままおかえしいたしますわ」

「──ッ!」


エディットからは歯軋りが聞こえてくる。
ティンナール伯爵夫人はカツカツとヒールを鳴らしてエディットの前に出る。
顔が触れてしまいそうな至近距離でもヴァネッサは一切、怯むことはない。
今にも殴られてしまいそうだが、この場で手を出せばもういいのが言い逃れはできない。

(手を出せるものなら出せばいいわ。それにしても王都のブティックでのことがあったのに何も学んでないというの!?)

あまりの非常識さに先ほどまで馬鹿にするように笑っていた令嬢たちから笑顔が消える。
静まり返る会場で二人が荒く吐き出す息の音が響く。


「もうよろしいでしょうか」

「……!?」


ギルベルトや周囲の貴族たちが冷めた目で見ていることにやっと気がついたのだろう。
伯爵夫人は鋭くヴァネッサを睨みつけたままだ。
ハッとしたエディットは伯爵夫人の元に行きドレスの裾を引く。
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