【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
ギルベルトがあまり社交界に出ないということも要因だった。
どうしても医師だった自分を捨てきれずに、時間があれば領民のために時間を使ってしまう、
今まではわかってくれる人が周りにいてくれたらいい。
そう思っていたが、最近は娘のアンリエッタのことが気がかりだった。
七歳になるアンリエッタは急に大人びたような気がした。
一人目の妻、リリアンが命をかけて産んだ娘だ。
彼女はアンリエッタを産んで亡くなった。
どうにか救いたかったが、だめだった。
彼女は満足そうに笑っていた理由が今でも理解できないでいる。
そんなリリアンにますます最近、アンリエッタが似てきたことで罪悪感を覚えるようになった。
アンリエッタはギルベルトの態度が変わったことに気がついたのだろうか。
最近、話しかけてもツンとして一言二言話してどこかに行ってしまう。
次第にアンリエッタにどう話しかけていいかわからなくなってしまった。
このままで良くないことだけはわかる。
二週間前もヴァネッサの部屋に入り込んだアンリエッタを怒鳴りつけてしまった。
ヴァネッサが危険な状態だったのもあるが、アンリエッタに何があるかと思うのかと心配だった。
(普段は約束を守るのにどうして……何か理由があったのだろうか)