【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
きっと彼らはヴァネッサがさっさと死んだと思っていただろう。
そうでなければあんな状態で放り出したりはできない。
ギルベルトから大金をもらい、ヴァネッサを売ったのだ。
彼らにとって最後までヴァネッサはいらない子だった。
それが悔しくて悲しくてたまらないのだ。
(誰にも愛されなかった分、わたしが〝ヴァネッサ〟を愛してあげなくちゃ……!)
それにあの場所から救い出してくれたギルベルトのために、ヴァネッサができることなら何でもしたいと思った。
(ギルベルト様に恩返ししたい……そのためには侍女として働くよりも公爵夫人としてきちんとできるようになった方がいい、ということよね?)
次の目標が定まったため、気分も上向きだ。
前世では両親に恩返しすることができなかった。
元気な姿を見せてあげられずに、悲しませてばかりいたと思う。
『丈夫に産んであげられなくてごめんね』
『苦しみを代わってあげたいよ……!』
だがらヴァネッサに生まれ変わった今、今度は自分が元気になって、誰かを幸せにしたいという強い思いがあった。
(今度はわたしが頑張ってギルベルト様とアンリエッタを幸せにするわ……!)